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【レポート】薮内美佐子ワークショップ「黒いながめ」その2

2014年12月 1日(月)更新レポート

【レポート】薮内美佐子ワークショップ「黒いながめ」その2

薮内美佐子さんのワークショップ第3弾「黒いながめ」の2回目が10月16日におこなわれました。

前回の最後に「ご自宅でもやってみてください」と紙をお渡ししたところ、取りためてこられた、たくさんのフロッタージュ作品をそれぞれが持ってこられ、まずは合評会からスタート。


前回のワークショップでは、まず、薮内さんやスタッフがあらかじめ用意したボタンやコインを用い、主に机上課題としてのフロッタージュ=「うつし絵」を行いましたが、ワークショップ後半にさしかかると、参加者さん達が次第に「欲しいディテール」を求めて席を離れ、おもいおもいに「たんす」建物内を行き来しはじめました。みなさんのそのアクティブな様子から、今回のワークショップでは幅60センチ、長さ3メートルほどの大きな紙を用意して、まちへと繰り出すことにしました。

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すでに前回でフロッタージュを習熟している皆さんは、「これ、取れる!」「これ、試してみない?」と目のつけどころが、するどくなっています(笑)。用意した紙は、絵柄入りのマンホールもうつし取ることができる大きさ。商店街の真ん中でも、ためらわずにしゃがみこみ、手分けして一気にうつし取ります。

白昼、複数の大人が突如、真剣に地面をこする姿は、さながらハイレッド・センター(註1)のパフォーマンスのようでした。人の目も気になるけれど、どんな絵が取れるのかも、確かめてみたい。「どうする?」「やってみる?」「こんな感じでいい?」「いいと思う!」と、小気味よいコミュニケーションをとりあいながら、大きな作品を次々と仕上げて行きます。

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写真:仲川あい

手のひらにおさまる小さなものから、建具や、まちを、フロッタージュしてみてわかったことは、「見えている風景」と、「うつし取る景色」が、一致したり、しなかったりすること。鉛筆やクレパスで丁寧にこすり取ると現れる「黒いながめ」。見慣れた風景から、意外な発見ができるワークショップとなりました。
(サポートスタッフ:安藤由布子)


註1 ハイレッド・センターとは、1960年代に活動した日本の美術家集団。1964年に「首都圏清掃整理促進運動」と題した、道路を雑巾などで磨きあげるなど、ゲリラ的に路上や電車、駅構内などの日常的な場所でハプニングと呼ばれるパフォーマンスを集団で展開した。

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