【レポート】11月22日「野点+いまみや妄想ひろば 実験その1」(後編)
2014年12月25日(木)更新
野点リアカーのカウンターに並べられた色とりどりの器たち。
並べられた作品を愛でる間もなく、今度はどこからか軽快なリズムが流れ出しました。横沢道治さん率いる、即興音楽集団「西成子どもオーケストラ」が自分たちの作った楽器を手に、運動場を練り歩きだしたのです。
体育館を使って、自分たちの音やリズムを探し出すワークショップを行った後の、満を持しての登場となりました。
気持ちのよい青空と、リズムと野点とが彩り豊かにミックスする瞬間でした。
子どもオーケストラが登場したかと思うと、今度は「塩崎おとぎ紙芝居博物館」による昔懐かし紙芝居が登場。
ピンク色に彩られた自転車に木製の、これまたピンクに彩られた紙芝居の枠を乗せた、ド派手な紙芝居屋さんが運動場に現れました。
と・・・言うより、いつの間にか現れていて・・・すでに子ども達は水飴やタコせんなどを買い求めているという、カオスにこれまたカオスなモノがミックスされた状態が、そこにありました。
11月も後半になると、17時で辺りは薄暗くなり始めます。
夜の野点の風景というのは、野点にはつきものの姿なのですが、今回はちょっとひと味違いました。
どこからともなく、ぼーぼーという音がしたかと思うと、それが今宮小学校の周りに立ち並ぶ家々に反響して、その音が更に深く、大きく響きだしました。
グラウンドのほぼ中央辺りに、円を描くようにいくつかの缶が積み上げられ、緩い青いライトがその風景をぼんやりと照らします。お客さんがその様子を遠巻きに囲みます。梅田哲也さんのパフォーマンスが始まりました。
梅田さんは、昨年度まで展開をしていた「ex・pots2011-2013」の参加アーティストの一人。
創造活動拠点「新・福寿荘」での展覧会「小さなものが大きくみえる」や、西成区・山王のまち全体を舞台にしたフィールドパフォーマンス+展覧会「O才」などを開催し、独特の空間・漂う空気を作り出してきました。
その彼が、小学校の校庭で佇んでいる。
これまでブレーカープロジェクトで行った野点では見られなかった風景です。
グランドという日常--ただし、それは、恒久的な日常ではなく、どこかノスタルジックな記憶の中の日常--その真ん中に集まった、2つの非日常。
その風景全体を楽しむ人もいれば、じんじんさんと熱心におしゃべりを続け、満足そうにお茶を飲む人、梅田さんのパフォーマンスを食い入るように見る人、野点のお客さんのお茶碗を、まだひたすら磨き上げるスタッフ・・・
どこまでも、どこまでも、今日は夢でも見ているのではないのかしら?という風景が広がっていました。夢なのか、妄想なのか・・・
ところで、妄想といえば、今後もブレーカープロジェクトとじんじんさんとのこの今宮の地での、妄想は続きます。
次回、12月23日にはこの「野点+いまみや妄想ひろば 実験その1」の振り返りも兼ねた「妄想ミーティング」が行われますので、続きはそちらで。
妄想、素敵ですね。
様々な人々の妄想をミックスさせて、その妄想を現実に、またもっともっと妄想を膨らませていったりできればよいなと思っています。
写真:仲川あい