【2月15日(土)/16日(日)より】呉夏枝「光のけはい、ゆらめく影」
2014年1月11日(土)更新【大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]2/15〜3/2、kioku手芸館「たんす」2/16〜3/9】ex・pots
「語られなかった記憶」「言葉にできない記憶」について探求し、織る/ほぐす/結ぶという手法で作品制作を行ってきた呉は、今回、西成区山王地域において、2年半かけて制作に取り組んできた作品を発表します。
本作品は、家庭のタンスに眠る編み物と、編み物にまつわる地域の女性たちのストーリーを集めるリサーチとしてのワークショップ「編み物をほどく/ほぐす」からスタートし、100 着におよぶ編み物を地域の方と協働作業でほどくというプロセスを経て、インスタレーション作品へと結実します。
本展覧会では、江之子島文化芸術創造センター[enoco]と同時に、本作品のリサーチと制作の拠点となったkioku 手芸館「たんす」においても、呉の作品展示と活動の紹介を行いますので、両会場で合わせてご覧ください。
■enoco会場
江之子島文化芸術創造センターでは、西成区の山王エリアにて長期的にプロジェクトを行ってきた呉夏枝と山田亘の2 名のアーティストによる展覧会を開催します。言葉にできない「沈黙の記憶」を想像し、未来へとつないでいく装置として作品をつくる呉と、記憶を語り/聞く行為自体を創造的な行為と捉え、そこから生まれる物語を新聞として記録する山田。それぞれのアプローチは異なりますが、大文字の歴史では取り上げられることのない、日常のなかの「個人の記憶」に焦点をあてた活動/作品を発表します。
[共催]大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]
|日 時|2014年2月15日[土]〜3月2日[日]※月曜休館 11:00-19:00 ( 最終日は17:00 まで)
|会 場|大阪府立江之子島文化芸術創造センター[enoco]1F(大阪市西区江之子島2丁目1-34)
※mapはこちら
|料 金|一般 300 円/高校生以下 無料
■まちなか会場
呉夏枝のリサーチと制作の拠点となったスペース「たんす」の2F では、[enoco]会場と対となるインスタレーション作品を発表します。また1F では「たんす」での活動から派生した、「編む」ワークショップの参加者によって編まれた〈ニットキャップ人形〉を展示するほか、会期中の木曜日(2/20、27)は、ひき続き編み物にまつわるワークショップを行います。
|日 時|2014 年2 月16 日[日]〜3 月2 日[日]、3 月7 日[金]~ 9 日[日]
※月曜休館 13:00-19:00
|会 場|kioku 手芸館「たんす」(大阪市西成区山王1丁目11-5 元・鈴木タンス店)
※mapはこちら
|料 金|無料
<同時開催> 呉夏枝 ギャラリートーク
染織の技法を用いて語られなかった記憶や時間の存在を浮かび上がらせる作品を制作してきた呉。
本トークでは、伊藤俊治氏から想像力と記憶の再創造の場についてメモリアル・ミュージアムの視点から語っていただくとともに、呉の本作品と2 年半におよぶリサーチと制作活動について、対話形式でお話しいただきます。
|日 時|2014 年3 月1 日(土)18:00 ~ 19:30
|会 場|kioku 手芸館「たんす」
|ゲスト|伊藤俊治(美術史家/東京藝術大学先端芸術科教授)
|料 金|無料
|定 員|30 名(要申込・先着順)
|申込先|bp.tansu@gmail.com
<ゲストプロフィール>
伊藤 俊治(いとう・としはる) 美術史家/東京藝術大学先端芸術表現科教授
1953年秋田県生まれ。東京大学大学院修士課程修了(西洋美術史)。美術史、写真史、メディア論などを中軸に、19~20世紀文化全般にわたる評論活動を展開。先端芸術からバリ島文化まで、メディアと身体感覚、想像力の変容を歴史的に考察する。展覧会企画・監修、美術館構想、都市計画等も行う。著書に『ジオラマ論』『20世紀写真史』『20世紀イメージ考古学』『バリ島芸術をつくった男/ヴァルター・シュピースの魔術的人生』など多数。
ワークショップ「編み物をほどく/ほぐす」 kioku 手芸館「たんす」について
ワークショップ「編み物をほどく/ほぐす」は、呉のリサーチの一環として、山王のデイケアセンター・みどり苑との連携で2012 年2 月にスタート。地域の方からいただいた編み物をほどき、毛糸にやどる個々の記憶を掘り起こすともに、新たな作品へと再生するための素材づくりを地域の方たちと協働で行ってきました。同年12 月には、ワークショップをより日常化するため、空き店舗だった元・鈴木タンス店を改装し、呉のコンセプトスペース/ワークショップ工房/展示ギャラリー〈kioku 手芸館「たんす」〉としてオープン。週2 回の編み物にまつわるワークショップを通して、地域の女性たちが集い、語る場をつくってきました。本ワークショップの過程で出会った〈ニットキャップ人形〉は、「編む」プロジェクトへと発展し、地域を越えた拡がりを見せています。
Photo: Toshie KUSAMOTO
呉夏枝 Haji OH
京都市立芸術大学美術研究科博士号取得。主に染織、刺繍、編む、結ぶなどの技法をつかって作品を制作。民俗/族衣装を象徴や記号的にとらえるのではなく、第二の皮膚としてとらえ、自ら染め、織り、仕立てるなどして作品を制作。近年では、織物や、編み物を記憶や時間が織込まれたメタファーとしてとらえ、織りものをほぐすことで織込まれなかったもの、言葉として表れなかったもの--「沈黙の記憶」--を顕在化しようとするインスタレーションや、音声や写真を使った作品なども展開している。主な展覧会に2013年呉夏枝×青森市所蔵作品展「針々と、たんたんと」国際芸術センター青森、2012年「VOCA展」上野の森美術館、2011年「Inner Voicesー内なる声ー」金沢21世紀美術館、2010年「やっぱり本が好き!国際ブック・アート・ピクニック」中之島図書館(大阪)、2009年「HOME」国際芸術センター青森(青森)、など多数。大阪在住。
☞http://hajioh.com/
[主催・お問い合わせ]ブレーカープロジェクト実行委員会
Tel: 070-5046-8667 E-mail: info@breakerproject.net
[助成]財団法人地域創造 公益財団法人福武財団 一般財団法人おおさか創造千島財団
[協力]山王連合振興町会 社会福祉法人山王みどり会 山王女性会 萩鶴会 飛田地区商店街連合 飛田新地協同組合 飛田新地料理組合 飛田連合振興町会 元鈴木タンス店
他、作品制作に協力いただいた皆様(順不同)
[ディレクター]雨森信
[プログラムディレクター]内山幸子
[事務局]松尾真由子